「ご説明させていただきます」

 京都大学経済研究所の梶井厚志教授⇒http://www.kier.kyoto-u.ac.jp/~kajii/が、『経』(ダイヤモンド社)に連載している「コトバの戦略思考」が無類に面白い。

 6月号のコトバは、「ご説明させていただきます」でした。
 たしかに、よく聞きますね。
 たとえば、「資料についてご説明させていただきます」という言葉。

 梶井先生によれば、“尊敬に値する人が説明するように強いたので、私はその命令に従い説明するのだという意味になろう。
 してみると、文法的には尊敬されるべき誰かが命令を出しているはずであるが、それが誰であるのかがはっきりしないことに気づく。”

 なるほど、すると、「政府案には反対させていただきます」とは、いったい、そうさせたのは誰だというのでしょうか。
 自分ではなく、誰かの命令で反対するのですか。
 そう訊いてみたくなるのが、人情というものです。

 “政府案には反対いたします”これで、なんの不都合がありましょうか。