「桶谷秀昭「素人の読む『資本論』」」
新潮社の雑誌「波」に、今年の2月号から連載されている、桶谷秀昭「素人の読む『資本論』」が、面白い。
桶谷といえば、文芸評論家であり、経済学者ではないので、“素人の読む”と断っているのでしょう。
それでも桶谷は、昭和20年代の後半『資本論』を、5分冊全3巻のうち第1巻は読んでいたのですから、まったく縁がなかったわけではありません。
そこで、桶谷は、こんなことを記しています。
“『資本論』には、ケインズに代表される近代経済学には感じられない或るおもしろさがあり”、“論理の整合性ばかりに腐心するおもしろくもをかしくもない経済学がたくさんあるなかに、「経済学批判」の副題をもつマルクスの『資本論』の、心の動揺をかくさない人間臭い文章に注目した”本書は、快調に第4回まで進んでいます。
この連載を読むと、ぼくは、立教の経済学部で必修だった「経済原論」Aの講義を思い出します。